人工骨頭・股関節を挿入している方への生活指導【大腿骨頸部骨折、変形性股関節症、作業療法、回復期】

作業療法
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僕は回復期リハビリテーション病棟で勤めています。

運動器リハビリテーションでは大腿骨頸部骨折や変形性股関節症などで人工骨頭・股関節を挿入している方を対象に作業療法を実施します。

この際に生活指導で気をつけている点についてまとめました。

  • 術式によって禁忌肢位が違う
  • 下方へのリーチが制限されやすい
  • 日常生活動作のやり方を変える、福祉用具を使う必要性がある
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大腿骨頸部骨折と変形性股関節症の概要

主に大腿骨頸部骨折や変形性股関節症では人工骨頭置換術、人工股関節置換術が対象になる場合があります。

この2つの状態について簡単に解説します。

詳しくはリンク先のガイドラインを参考にしてください。

大腿骨頸部骨折

骨折した部位をレントゲンなど画像上で確認して、手術方式を決めるGarden stage分類を用いるのが一般的。

  • stage1 不完全骨折
  • stage2 完全骨折であるが転移なし
  • stage3 完全骨折であり転移あり
  • stage4 完全骨折であり転移あり 全ての軟部組織の連続性がたたれる

stage1,2は「非転移型」stage3,4は「転移型」と2つに分類する

stage1~3は骨接合術が適応。荷重制限がある場合あり。

stage3,4は「人工骨頭置換術」「人工関節置換置換術」のどちらかが適応。脱臼リスクがある。

Mindsガイドラインライブラリ
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変形性股関節症

有病率は男性0〜2.0%、女性2.0〜7.5%と女性のほうが高い。

X線レントゲンやCT、MRIを用いて病態を把握する。

保存療法、関節保存術、人工関節置換置換術(THA)から選択される。

人工関節置換置換術(THA)を適応する例では脱臼頻度は初回が1〜5%、再置換術で5〜15%である。

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/osteoarthritis-of-the-hip/osteoarthritis-of-the-hip.pdf

人工骨頭置換術と人工関節置換術の術式によって異なる脱臼肢位

人工骨頭置換術と人工関節置換置換術は、手術時に皮膚や筋を切開して行います。

このため、特定の肢位を取ると股関節が脱臼してしまうリスクがあります。脱臼してしまうと激しい疼痛とともに股関節を動かすことができなくなってしまいます。

日常生活どころではなくなってしまうため、脱臼肢位を作業療法士が理解をして動作指導していく必要があります。

 

手術法切開部位脱臼肢位
前方侵入縫工筋、大腿筋膜張筋の間伸展、内転、外旋
前側方侵入中殿筋、大腿筋膜張筋の間伸展、内転、外旋
側方侵入中殿筋など屈曲、内転、外旋
後側方侵入大殿筋、中殿筋、外旋筋群など屈曲、内転、内旋
後方侵入大殿筋、外旋筋群など屈曲、内転、内旋

作業療法として実施すること

簡単に介入手順をまとめると以下のようになります。

  1. 人工骨頭置換術と人工関節置換術を受けた方の作業療法が処方される
  2. 術式がどの方法なのかを医師やカルテ、サマリーなどから確認
  3. 対象者の日常生活の状況を把握、評価する
  4. 日常生活を自立していくために、福祉用具を導入するのか、股関節の機能回復を図るのか、やり方を変えるのか、方針を決める
  5. 福祉用具の使用方法を指導、関節可動域・筋力向上する訓練、動作指導を合わせて実施する
  6. 上記を繰り返して、脱臼肢位を取らない日常生活が遅れるようにする。

脱臼肢位を取らない日常生活動作指導

脱臼肢位を取らないように日常生活動作が行えるようにすることが、作業療法の中心になります。

脱臼肢位を取りやすい動作としては以下のようなものがあります。

このほかにも脱臼肢位をとってしまう動作はあると思いますが、対象者の生活を把握して指導をしていくことが重要です。

  • 入浴動作
  • 更衣動作(ズボン、パンツ、靴下、靴)
  • 上のものや下のものを取る(洗濯や掃除、料理、仕事など)

入浴動作

浴室の低い椅子に座るとき、椅子に座って足先を洗うとき、浴槽を跨ぐときに「後方・後側方侵入である屈曲、内転、内旋」の肢位を取りやすいです。

この対策としては福祉用具の利用もしくは動作指導で対処しましょう

  • 低い椅子に座る→シャワーチェアーなど座面が高い椅子に変える
  • 足先を洗う→洗体ブラシを使用してリーチ範囲を補う、股関節を外転・外旋・屈曲して股を広げる形で足先を洗うように指導する
  • 浴槽を跨ぐ→バスボードや浴槽縁を利用して股関節を外転・外旋・屈曲して座りまたぎをする。浴槽縁、手すりを設置して股関節を伸展、外転、外旋して立ちまたぎをするように指導する

更衣動作

ズボンを履く時、靴下を履く時、靴を履く時に「後方・後側方侵入である屈曲、内転、内旋」の肢位を取りやすいです。

これも入浴動作と同じで、福祉用具の導入もしくは動作指導を行います。

  • ズボン・ズボン下を履く→爪先にリーチができない場合はリーチャーを提案、ズボンをリーチャーで操作して足先にズボンを入れる。股関節を屈曲・外旋・外転して足先をリーチするように動作指導。
  • 靴下・レッグウォーマーを履く→爪先にリーチができない場合にはソックスエイドを提案して練習して使えるようにする。また、リーチできる場合は屈曲・外旋・外転してリーチするように指導。
  • 靴を履く→踵までリーチできない場合は靴べらを提案。靴べらを使用する時にも脱臼肢位を取りやすいので、外旋・外転して履くように指導。リーチできる場合は屈曲・外旋・外転して履くように指導

上のものや下のものを取る

自宅内の動作としては家事動作中に、仕事をされている方は仕事の動作で、以下のような脱臼肢位を取りやすいです。

  • 上のものを取る時には「前方・前側方侵入である伸展、内転、外旋」
  • 下のものを取る時には「後方・後側方侵入である屈曲、内転、内旋」

上のものを取る時には手術をした下肢を前に出すように指導をすることで、脱臼肢位を取ることはなく上ものを取ることができるようになります。

下のものを取る時には手術した下肢を後ろにして伸展させることで脱臼肢位を防ぐことができます。

また、どのような手術方式でも股関節の可動域制限が出やすいため、下方へのリーチが困難となりやすいです。

このため、下にあるものが取りづらくなってしまいます。リーチャーでは軽いものや小さいものを取ることができますが、重たいものや大きいものは取ることが難しくなります。大きいものや重たいものは、置いておく位置を変えるなどの環境調節が必要です。

まとめ

運動器リハビリテーションでは大腿骨頸部骨折や変形性股関節症などで人工骨頭・股関節を挿入している方を対象に作業療法を実施します。

この際に生活指導で気をつけている点についてまとめました。

  • 術式によって禁忌肢位が違う
  • 下方へのリーチが制限されやすい
  • 日常生活動作のやり方を変える、福祉用具を使う必要性がある

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