CI療法(Constraint-Induced movement therapy)の非麻痺手の拘束について解説をします。
CI療法は療法の名前である。Constraint=拘束という意味合いがある。
麻痺手の練習や日常生活時に、非麻痺手をミトンやグローブなどで拘束具をつけることが特徴であった。
このため「CI療法=麻痺手を拘束する」というイメージが定着してしまっている。
非麻痺手を拘束をすることに対して倫理的な問題があった。
現在は研究の結果、ミトンやグローブなどで麻痺手を拘束することで臨床結果に影響を与えないことがわかっている。
そのため、ミトンやグローブなどで麻痺手を拘束せずにCI療法を実施することもある。
臨床的な非麻痺手の拘束の効果
ミトンやグローブなどを使用するしないに関しては様々な研究がなされています。
拘束すること自体に倫理的な問題があったこと、拘束によって結果が変わるのか・変わらないのかという点が重要です。
Uswatteの研究
- 「非麻痺手にミトンを着用して練習と日常生活を送った群」と「非麻痺手にミトンを着用しなかった群」を比較
- 2つの群でアプローチ直後と2年後の日常生活における麻痺手の使用頻度に大きな差はない
Brogardhの研究
- 生活期の脳卒中後片麻痺の対象者
- 「1日6時間の集中練習」と「起きている間の90%の間、非麻痺手を拘束する」介入を12日間実施
- その後3ヶ月間のうち21日間で実生活中に「ミトンを非麻痺手で拘束する群」と「何もしない群」に無作為に振り分ける
- 3ヶ月後の両群の間の麻痺手の上肢機能と日常生活の使用頻度、主観的な麻痺手の使用頻度には差がなかった
Brogardhの研究の上記のものと違う研究
- 回復期の脳卒中後の片麻痺対象者
- 1日3時間の集中練習と「起きている間の90%の間、非麻痺手を拘束する群」と「拘束しなかった群」
- アプローチ前後と3ヶ月後の両群間の上肢機能と日常生活における使用頻度、および主観的な麻痺手の使用感に差はなかった
- この対象者を1年間追跡した結果、この傾向は1年間にわたり継続した
上記の研究結果から
非麻痺手のミトンやグローブなどで拘束する。麻痺手の上肢機能および日常生活の使用頻度、主観的な麻痺手の使用感に影響を与えるわけではない。
上記の文を別の言い方に直すと「拘束をしなくても麻痺手の上肢機能および日常生活の使用頻度、主観的な使用感は麻痺手を拘束をした時と変わらない」
つまり、「CI療法=麻痺手を拘束する」ものではない。
臨床現場では※個人的な主観
僕自身がCI療法を実施する際、まずは非麻痺手を拘束することはしません。
集中練習中には麻痺手で行うように口頭指示を出しています。
ですが、対象者によっては、集中練習中や日常生活であまりに非麻痺手ですぐに麻痺手を助けてしまう場合があります。
その場合には、口頭での注意を何度かします。
口頭注意のみで行動が変わらなければ、非麻痺手をお尻の下に入れる、背中に回すなど、すぐに日麻痺手を使うことができなようにします。
それでも非麻痺手が出るようであれば、スリングやミトンを使うようにしています。
まとめ
CI療法は療法の名前である。Constraint=拘束という意味合いがある。
麻痺手の練習や日常生活時に、非麻痺手をミトンやグローブなどで拘束具をつけることが特徴であった。
このため「CI療法=麻痺手を拘束する」というイメージが定着してしまっている。
非麻痺手を拘束をすることに対して倫理的な問題があった。
現在は研究の結果、ミトンやグローブなどで麻痺手を拘束することで臨床結果に影響を与えないことがわかっている。
そのため、ミトンやグローブなどで麻痺手を拘束せずにCI療法を実施することもある。
状況に応じて非麻痺手を拘束する、しないを使い分けて効率よく対象者の訓練が行えるようにしましょう。
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