作業療法士として回復期病棟で勤務していると、ヒヤリハット・インシデント・アクシデントに遭遇することがあります。これらはヒューマンエラー、人のミスによって生じてしまいます。
産業災害防止論として広まっている「ハインリッヒの法則」を解説します。
ハインリッヒの法則とは
「アクシデント(大事故)1件起こすまでに、インシデント(軽微・中程度の事故)が29件、ヒヤリハット(微小事故)が300件起きる」
この法則を理解して、自分が行う訓練や職場でアクシデントが起こらないようにしましょう。
ハインリッヒの法則とは
ハインリッヒの法則とは「アクシデント(大事故)1件起こすまでに、インシデント(軽微・中程度の事故)が29件、ヒヤリハット(微小事故)が300件起きる」ことです。
アメリカの損害保険会社の安全技師であったハインリッヒが発表した法則です。「同じ人間が起こした330件の災害のうち、1件は重い災害(死亡や手足の切断等の大事故のみではない。)があったとすると、29回の軽傷(応急手当だけですむかすり傷)、傷害のない事故(傷害や物損の可能性があるもの)を300回起こしている。」というもので、300回の無傷害事故の背後には数千の不安全行動や不安全状態があることも指摘しています。
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo24_1.html 厚生労働省>職場の安全サイト>ハインリッヒの法則
簡単に言うと「一件の事故が発生する前には329件、事故につながる可能性がある出来事が起きてる」と言うことです。
アクシデント
医療業界での例をあげると
- 「事故によって患者様・利用者様が死亡する」
- 「事故により長期の治療・障害が残る」
- 「処置や治療を要する(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、入院患者様の骨折)」
以上のような患者様に対して、大きな怪我や死因となってしまうような事故のことを言います。
リハビリテーションの訓練中では「患者様が訓練中に転倒で骨折してしまった」「擦過傷で出血して処置をした」などが考えられます。
インシデント
医療業界での例です。
- 「処置や治療を要する(消毒や湿布、皮膚の縫合など)」
- 「処置や治療は行わないが観察を強化する(バイタルの変化、安全確認のための検査を施行)」
- 「間違えたことを患者様に実施したが、患者様には変化がなかった」
以上のように患者様に対して、怪我やバイタルの変化が出てしまうような事故を言います。
リハビリテーションでは「患者様が転倒したが怪我はなくバイタルの変化がでた」「荷重制限を超えて荷重をかけてしまったが、疼痛や骨の変形はなかった」などが考えられます。
ヒヤリハット
医療業界での例です。
- 「処置する人や訓練する人を間違えそうになった」
- 「訓練中転倒しそうになったが、支えることができた」
- 「介助中に転落しそうになったが支えることができた」
以上のように事故につながる手前で気がついた・事故に至らなかったこと言います。
事故を起こさないための対策
- 事例を集めて対策をする
- バイタルに注意する
- 転倒しないか
- 環境は良いか
アクシデントを起こさないためにはヒヤリハットを減らすことが大切です。ヒヤリハットとなった事例を収集して、対策を立てることが重要です。
ヒヤリハットが減ることで事故につながる事例を減らすことができます。
リハビリテーションでは歩行・日常生活動作・家事動作・趣味活動など行うことが多いです。運動を行うことでのバイタル変化・できないことをするために能力向上の過程での転倒転落など、事故につながる可能性があります。訓練中にヒヤリハットすることがあれば、全体へ周知して同じヒヤリハットが起こることがないようにしましょう。
まとめ
産業災害防止論として広まっている「ハインリッヒの法則」を解説しました。
ハインリッヒの法則とは
「アクシデント(大事故)1件起こすまでに、インシデント(軽微・中程度の事故)が29件、ヒヤリハット(微小事故)が300件起きる」
この法則を理解して、自分が行う訓練や職場でアクシデントが起こらないようにしましょう。
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