この記事では2018年に日本作業療法協会よって改正されたの作業療法の定義について解説します。
新しい定義のポイントは以下の通りです。
- 対象範囲の拡大
- 職域の拡大
- 作業への焦点化
- 作業という言葉の意味(生活行為)
理学療法士及び作業療法士法での定義(1965年)
「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主として その応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作 業を行なわせることをいう
改正された日本作業療法協会の定義(2018年)
作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。
(註釈)
・作業療法は「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念と学術的根拠に基づいて行われる。
・作業療法の対象となる人々とは、身体、精神、発達、高齢期の障害や、環境への不適応により、日々の作業に困難が生じている、またはそれが予測される人や集団を指す。
・作業には、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれる。
・作業には、人々ができるようになりたいこと、できる必要があること、できることが期待されていることなど、個別的な目的や価値が含まれる。
・作業に焦点を当てた実践には、心身機能の回復、維持、あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と、その作業自体を練習し、できるようにしていくという目的としての作業の利用、およびこれらを達成するための環境への働きかけが含まれる。
対象範囲の拡大
以前の定義では「身体又は精神に障害のあるもの」と対象者が限定されています。
改正後の定義では注釈にて「身体、精神、発達、高齢期の障害や、環境への不適応により、日々の作業に困難が生じている、またはそれが予測される人や集団を指す。」と適応範囲が広がっています。
職域の拡大
以前の定義では職域に関して明記はありません。
改正後の定義では「人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる」と具体的な職業領域が明記されるようになりました。
作業に焦点を当てること
以前の定義では「主として その応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう」と能力を回復するために作業を利用する手段としています。
改正後の定義では「作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。」
注釈にて「作業に焦点を当てた実践には、心身機能の回復、維持、あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と、その作業自体を練習し、できるようにしていくという目的としての作業の利用、およびこれらを達成するための環境への働きかけが含まれる。」
作業を能力向上だけではなく、作業自体の練習、環境調節も明記されるようになりました。
作業という言葉の意味
以前の定義では作業の意味に関して、特に明記はありません。
改正後の定義では「作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。」と明記されるようになりました。
生活行為向上マネジメントが用いられるような背景があるため「作業=生活行為」と明記されています。
まとめ
この記事では2018年に日本作業療法協会よって改正されたの作業療法の定義について解説します。
新しい定義のポイントは以下の通りです。
- 対象範囲の拡大
- 職域の拡大
- 作業への焦点化
- 作業という言葉の意味(生活行為)
コメント
[…] 日本作業療法士協会 作業療法の定義より http://www.jaot.or.jp/about/definition.html 日本作業療法士協会の作業療法の新しい定義についてこの記事では2018年に… […]