大腿義足の歩行【作業療法・大腿切断・義足歩行】

作業療法
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回復期リハビリテーション病棟に勤める作業療法士として、交通事故、糖尿病などの疾患で起こりうる、大腿義足の歩行について解説します。

下肢切断では移動手段としての歩行獲得が必要になる場合があります。

大腿義足歩行のポイントしては以下の通りです。

  • 大腿切断は膝関節がない
  • 義足自体の膝継ぎ手の機能に影響を受ける
  • 継ぎ手の機能:立脚相制御装置の「あり」「なし」
  • 膝関節がないため立脚相の前期での膝折れの転倒リスクが高い

歩行以外のポイントしては「転倒リスク・義足」管理が自身で行えるかなどを加味して移動手段をどのようにするのか決定していくこと大切です。

必要に応じて歩行以外の移動手段として、車椅子・電動車椅子・セニアカーなどの検討も必要です。

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立脚相

切断者の転倒の原因として立脚相前期に膝折れが多い。

立脚相制御装置がない単軸膝継ぎ手を用いた場合。

継ぎ手自体に膝小屈曲に耐えらえるだけの伸展モーメントの発生機構がない。

床反力ベクトルが膝継ぎ手軸後方に位置した場合膝俺を引き起こし転倒に繋がる。

立脚相制御装置なし

単軸膝継ぎ手は継ぎ手自体に膝小屈曲に耐えられる伸展モーメントの発生機構がない。

床反力ベクトルが膝継ぎ手後方に位置し、転倒につながる。

防止するためには膝継ぎ手の位置を変更する必要があり。

立脚相制御装置あり

静的安定性:立脚相での膝継ぎ手の角度を一定に保つ制御方法

  • 固定膝、荷重ブレーキ膝:調節が難しい。角度が一定に保たれている

動的安定性:立脚相で膝継ぎ手の角度を変化させながら安定性を確保する機構

  • バウンシング機構:膝折れを防止しながら屈曲を行う健常者の歩行に似た歩行が可能
  • イールディング機構:油圧機構を用いて膝屈曲がゆっくりと行える
  • コンピューター制御:下腿部に取り付けたセンサーでイールディング機構の油圧シリンダ弁を調節するもの

遊脚相

立脚相後期から遊脚相初期にかけて膝継ぎ手、股関節屈曲しトウクリアランスを確保しながら下肢を振り出す。

中期から後期膝を伸展しながらタイミングを計って、次の踵接地に備える。

遊脚相の動きの原動力は股関節屈曲筋による求心性収縮。

この大きさによって下腿部の振りが変化する。

義足膝継ぎ手では屈曲伸展に対する制動モーメントを発生させてコントロールしている。

ばね制御装置

  • 膝継ぎ手屈曲伸展時に常に伸展モーメントを派生
  • 屈曲時には屈曲角度の調節、伸展時には振り出しのための伸展補助の役割

機械的摩擦装置

定摩擦

  • 膝継ぎ手の角度に関わらず一定の摩擦抵抗を有する
  • 屈曲時は伸展モーメント、伸展時には屈曲モーメントを発生される

可変摩擦

  • 屈曲角度によって摩擦抵抗を変化させる
  • 伸展時に大きな摩擦を発生する

流体制御装置

  • 継ぎ手角度変化に連動したシリンダ抵抗を用いた機構
  • 空圧と油圧がある
  • 切断者の歩容に合わせて、屈曲・伸展モーメントを調節可能

臨床現場では

大腿切断者によって上記のような膝継ぎ手を選定・調節するが重要になります。

僕が勤めている回復期リハビリテーション病棟では作業療法士が直接義足の選定調節をすることははないです。

ですが、クライエントの生活が成り立つため、歩行もしくは移動ができるように理学療法士と共同することが必要です。そのためには、義足に関する知識が必要です。

作業療法では義足の管理方法や義足歩行での日常生活動作や家事・仕事動作など、クライエントが必要とする作業が行えるように、歩行訓練以外での役割があります。

また、義足歩行が長時間行えない・転倒リスクがあるのであれば、車椅子・電動車椅子・セニアカーなど代償的な移動手段の検討も必要です。

まとめ

交通事故、糖尿病などの疾患で起こりうる、大腿義足の歩行について解説しました。

下肢切断では移動手段としての歩行獲得が必要になる場合があります。

大腿義足歩行のポイントしては以下の通りです。

  • 大腿切断は膝関節がない
  • 義足自体の膝継ぎ手の機能に影響を受ける
  • 継ぎ手の機能:立脚相制御装置の「あり」「なし」
  • 膝関節がないため立脚相の前期での膝折れの転倒リスクが高い

歩行以外のポイントしては「転倒リスク・義足」管理が自身で行えるかなどを加味して移動手段をどのようにするのか決定していくこと大切です。

参考文献

早川康之、義足歩行のバイオメカニクス、理学療法科学、2003、18(3):123−129

www.jstage.jst.go.jp

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